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製造装置・工作機械の世界市場 2028年には1.5倍以上と予測

富士経済は、製造装置・工作機械の世界市場について現状と2028年の予測などをまとめた「2024年版 マシンツール&半導体・先端デバイス製造装置マーケット総調査」を発表した。

<目次>
1.製造装置・工作機械の世界市場 2028年には1.5倍か
2.半導体市場は回復へ二次電池製造装置は中国・韓国に注目
3.工作機械は世界各地で伸長の見込み 鍛圧機械・成形機は3Dプリンター等に注目

 

製造装置・工作機械の世界市場
2028年には1.5倍か

製造装置・工作機械の世界市場(出典 富士経済)

総合マーケティングビジネスを手掛ける株式会社富士経済は、各種製造装置や工作機械などの世界市場を調査し、「2024年版 マシンツール&半導体・先端デバイス製造装置マーケット総調査」をまとめた。調査によって市場の現状を把握することで、将来の予測をしている。調査対象は、半導体製造装置(前工程)9品目、半導体製造装置(後工程)9品目、鍛圧機械・成形機10品目、二次電池製造装置9品目、工作機械10品目の計47品目。

2024年前半の世界市場は、EVや半導体の市場が落ち着いたことにより設備投資を控える動きがあり、半導体製造装置や工作機械の需要が低迷した。後半以降は、半導体市場の回復から設備投資が増加することが期待される。

また、今後の展望として、工場の自動化や業務効率化、EVの普及に向けた設備投資の増加が見込まれる。その結果、28年の製造装置・工作機械の世界市場は、23年比で約1.5倍の29兆5195億円と予想している。

半導体市場は回復へ
二次電池製造装置は中国・韓国に注目

調査対象別にみると、半導体製造装置は2024年は設備投資が伸び悩んだが、2025年以降は半導体市場の回復を受け伸長が見込まれる。前工程では露光装置やドライエッチング装置、後行程ではウェハー外観検査装置や電気テスター装置に注目が集まる。

二次電池製造装置は、EV化に伴って二次電池の需要が増えたため好調が続いている。中国や韓国の電池メーカーはグローバル生産拠点への設備投資を続けており、さらなる市場拡大が期待できる。また、中国や韓国の電池メーカーの設備投資をにらみ、ヨーロッパやアメリカの市場にも伸びが見られる。日本では次世代電池向けの設備投資が増えることが期待できそうだ。28年の世界市場は、23年比約2.1倍増と予測している。

工作機械は世界各地で伸長の見込み
鍛圧機械・成形機は3Dプリンター等に注目

工作機械は、2024年前半は落ち着きが目立ったが、後半から半導体分野での需要の回復が見込まれるため、前年と同等程度の市場と予想している。中国での需要が大きいほか、インドなどアジアの国々でも新工場設立などで販路拡充を図るメーカーが多い。5軸加工機など日本やアメリカ・ヨーロッパ向けが大きい機械もある。今後はEVや半導体の市場回復や、中国経済の回復、インドなどでの需要増加などが期待されており、市場は拡大していくだろう。

3Dプリンターの世界市場(出典 富士経済)

鍛圧機械・成形機では、樹脂3Dプリンター・金属3Dプリンターなどに注目が集まっている。樹脂3Dプリンターは、自動車関連の用途が3割ほどと最も多い。これは自動車の軽量化や生産体制・サプライチェーンの見直しなどによる効率化に伴って、部材変更が増えていることが背景にある。3D CADの設計データをもとに、熱可塑性樹脂やUV硬化樹脂などの層を積み重ねていくことで立体モデルを形作るこの製品は、部材変更にも対応しやすいのだ。

24年は、23年比11.3%増となる1670億円が見込まれている。今後、医療機器などの試作検証用途などでの導入も増加するとみられている。

金属3Dプリンターでは、自動車や航空・宇宙向けがヨーロッパやアメリカで伸長している。義足や人工関節などの医療関連向けの需要も大きくなっている。EVの伸長から、合金パイプやバーナーなど自動車部品向けの需要も増えると期待されている。日本では3D設計への切り替えには遅れがみられるが、試作や研究開発の用途での利用は増加が見込まれている。

このほか、鍛圧機械・成形機では、金属製の自動車部品などを成形するダイカストマシンが、一体成型を行うギガキャスト案件の増加に伴い注目を集めている。ヨーロッパや中国のメーカーに対応機が多いが、日系メーカーにも取り組む企業があり、今後の市場拡大が期待される。

DATA

製造装置・工作機械の世界市場を調査


取材・文/ダブルウイング

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