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生成AI関連の国内市場 2028年度には23年度比12倍以上に拡大

富士キメラ総研は、「ChatGPT」の登場以降、注目が高まっている生成AI関連の国内市場を調査した。生成AI市場は2028年度には、23年度比12.3倍の1兆7394億円に達し、AI市場全体の6割程度を占める見通しだ。

<目次>
1.AI市場は大きく拡大生成AIがけん引
2.注目の市場 大規模言語モデル(LLM)
3.注目の市場 対話型生成AIチャットボット
4.注目の市場 AI向けGPUサーバー/GPUクラウド

 

AI市場は大きく拡大
生成AIがけん引

2025 生成AI/LLMで飛躍するAI市場総調査(出典 富士キメラ総研)

富士キメラ総研が発表した「2025 生成AI/LLMで飛躍するAI市場総調査」には、昨今急激に伸長し、実用化がすすめられている生成AI関連の国内市場について、サービス、アプリケーション、プラットフォーム、インフラのビジネスカテゴリー別に分類し分析した調査結果をまとめている。

調査によると、24年度のAI市場は1兆4735億円の見込みで、23年度比29.1%増と見込んでいる。その後も右肩上がりで拡大していき、28年度には2兆7780億円と予想されている。現在の市場では、生成AIではない従来のAIの比率が高いが、今後は生成AIが大きく伸長していくだろう。

従来のAIは「学習済みのデータの中から適切な回答を探して提示する性質」を持っていたが、生成AIは「0から1を生み出す」性質が特徴的である。すでに学習したデータを参考に予測した答えを返すのではなく、AI自身が自ら学習し続け人間が与えていない情報やデータさえもインプットし、新たなアウトプットを人間に返すことができる。

22年11月に対話型AI「ChatGPT」が登場して以降、生成AIに注目が集まり、世界中で実用化に向けた取り組みが進められている。国内ベンダーも国産LLM開発やLLM導入支援ソリューションなどの体系化を進めており、政府もLLM開発に取り組むスタートアップ企業の支援など、生成AI関連事業の推進に取り組んでいる。

24年度の生成AI市場は4291億円で、23年度と比べ約3倍となっており、大きく伸長した今後は従来のAIとの併用や連携など、生成AIを活用できる領域が広がることで、市場拡大していくことが予想される。28年度には、23年度比12.3倍の1兆7394億円に達し、AI市場全体の6割程度を占める予想だ。

注目の市場
大規模言語モデル(LLM)

●大規模言語モデル(LLM)

2025 生成AI/LLMで飛躍するAI市場総調査(出典 富士キメラ総研)

LLMは、「計算量」「データ量」「パラメーター数」を大規模化することで実現した、従来より高度な言語モデルだ。文書作成や質疑応答などさまざまな言語処理を行うことができる。LLMとの応答を行えるクラウドAPIサービスの利用料を対象として、市場を調査した。

「ChatGPT」が公開されて以降、LLMを自社サービスに組み込む需要が拡大した。OpenAIの「GPT」シリーズがAPIサービスとして利用できるようになったことで急速に普及が進み、市場も拡大している。

今後は、汎用的なLLMに加えて、業界や領域に特化したLLM、応答速度を高速化した軽量LLMなどの多用なLLMの登場が予想される。市場は大幅に拡大し、28年度には、23年度比15.3倍の1840億円になると予想されている。

注目の市場
対話型生成AIチャットボット

●対話型AIチャットボット

2025 生成AI/LLMで飛躍するAI市場総調査(出典 富士キメラ総研)

生成AIの活用により汎用的な業務支援が可能なチャットボットを対象として調査した。他の製品のオプションとして提供されるものや、APIを通じてLLMと対話するサービスは含んでいない。

OpenAIの「GPT」シリーズのAPIを利用するだけで生成AIをチャットボットに実装することが可能になったため、2023年初めから多数の企業が市場へ参入した。以降、導入は増えており、今後も市場の拡大が予想される。しかし機能面での差別化が難しく、価格競争が激化しており、低価格化が進んでいる。市場は28年度には、23年度比6.7倍の180億円となると予想されている。

注目の市場
AI向けGPUサーバー/GPUクラウド

●AI向けGPUサーバー/GPUクラウド

2025 生成AI/LLMで飛躍するAI市場総調査(出典 富士キメラ総研)

GPUサーバーは、CPU(中央演算処理装置)に加えGPU(画像処理装置)を搭載したサーバー設備のこと。GPUクラウドは、GPUサーバーをインターネット経由で使えるクラウドサービスをいう。GPUはもともと、画像処理を目的としたものであるが、大量の並列演算処理を得意とすることから、生成AIの学習用途を目的に利用されるようになり、市場が形成された。

クラウドサービスプロバイターによるGPUクラウドサービス提供を目的とした導入や、研究/教育機関向けでの大規模なGPUサーバーの導入が続いており、今後も好調な市場拡大が予想されている。一方、GPUサーバーは高額なため、中小企業などでは、初期コストが抑えられるGPUクラウドの需要が高い。

28年度には、GPUサーバーとGPUクライドを合わせて、5003億円、23年度比で10.4倍と予想されている。市場が大きく拡大すると予想される生成AIの今後の動向を注視する必要がありそうだ。

DATA

富士キメラ総研「2025 生成AI/LLMで飛躍するAI市場総調査」


取材・文/ダブルウイング

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