業界ワード ロボット3Dシミュレーション
2024/10/02
ロボット3Dシミュレーションとは、3D CADデータを用いて、ロボット、自動機、作業者の動きなど、工場内の動作をシミュレーションします。ロボットシステムの実機を設置する前に、コンピュータ上で問題点を確認できるのがメリットです。
ロボットの挙動を
仮想空間で高精度に検証
ロボット3Dシミュレーションとは、パソコン上でロボットの姿勢や挙動を3D表示し、ティーチング(プログラミング)や検証を行うことです。動作検討のみならず、ロボットやPLCのプログラミング、作業負荷検証・サイクルタイム予測を高精度に行うことができます。
仮想空間上で3Dデータを用いてシミュレーションをすることで、システムの実現可能性や装置間の干渉、サイクルタイム等の検証が可能になります。また、実際に現物を製作・稼働させる前に検証を行うことで、最適な治具・設備の設計を行うことができ、想定外のトラブルや検証ミスによる再設計・再製作等の費用(材料費 ・加工費 ・労務費) ・時間ロスの削減が期待できます。
事前検証が仮想空間上で可能になることで、顧客からの新規の引き合いに対して、競合他社よりスピーディーかつ正確に見積もりが出せる検証体制を構築でき、受注機会の増加が見込めます。また、これまで実機を用いていた加工検証の時間が削減されるため、設備稼働率を高め、生産性の向上にもつながります
3Dシミュレーション
導入の効果
3Dシミュレーションを導入することで、多くの効果が得られます。主な導入の効果は、以下の3点です。
・事前評価と最適化
・時間とコストの削減
・手戻りの最小化と生産性向上
導入の効果① 事前評価と最適化
3Dシミュレーションは、ラインレイアウトの改善や自動化のシナリオを事前に再現して評価できるため、実際の生産ラインに導入する前に検証できるのがメリットです。
機器や装置の動作をデジタル空間上で再現したり、導線上の障害や不具合を特定したり、プロセスを最適化したりできます。
導入の効果② 時間とコストの削減
自動化工程を生産ラインに導入するまでの時間を短縮できることも、3Dシミュレーションを導入するメリットです。
ロボットやAGV(自動誘導車)の動線や稼働率をシミュレーションしたり、作成したルートを学習データとして利用したりすることで物理的なプロトタイプを作成する手間や、コストを削減できます。
導入の効果③ 手戻りの最小化と生産性向上
3Dシミュレーションの結果を通じて、実際の導入前に問題を特定し、手戻りを最小限に抑えられるのもメリットです。生産性を向上させ、競争力を高められます。
3Dシミュレーションは、2Dではわからなかった、干渉や不具合を事前にモデル上で確認することができます。工場や製造設備の建設、都市開発など、あらゆる現場においてデジタル空間に物理空間を再現することによって、事前のシミュレーション・分析・最適化を行い、それを物理空間にフィードバックすることにより、現実世界でかかる検証・開発コストを最小にすることができます。
取材・文/高橋健一