【業界ワード】ロボット革命
2024/03/07
安倍内閣の「日本再興戦略」の一環として「ロボット革命実現会議」が設置され、同会議が2015年1月に「ロボット新戦略」という報告書を発表した。そのなかで、「ロボット革命」という言葉が使われている。
2015年に
ロボット新戦略を策定
ロボット新戦略では、「ロボット革命」を次のように定義している。
<ロボット革命>
1. センサー、AI などの技術進歩により、従来はロボットと位置づけられてこなかったモノまでもロボット化し(たとえば、自動車、家電、携帯電話や住居までもがロボットの一つとなる)、
2. 製造現場から日常生活の様々な場面でロボットが活用されることにより、
3. 社会課題の解決やものづくり・サービスの国際競争力の強化を通じて、新たな付加価値を生み出し利便性と富をもたらす社会を実現することである。
現在、ロボット自体が足下において劇的に変化しつつある。そのキーワードは「自律化」「情報端末化」「ネットワーク化」の3つである。ロボットが単なる作業ロボットから自ら学習し行動するようになるとともに、自らデータを蓄積・活用する新たなサービス提供の源泉となり、さらに、こうしたロボットが相互に連携する方向に向かって急速に技術進歩が進展している。
我が国としても、こうした世界的な潮流を踏まえ、自らのロボットを変革していくことが必要である。まず、誰もが使いこなせる「Easy to Use」を実現し、多様な分野の要請に柔軟に対応できるロボットに変えていくことが必要である。そのため、共通プラットフォームの下、モジュールを組み合わせて多様なニーズに応えていくモジュール型ロボットが主流となるよう技術開発や環境整備を推進することが必要である。
さらに IT と融合し自律的に相互に連携しデータの蓄積・利活用を行うことができる次世代型ロボットへと変えていくことが必要である。その結果として、ロボットがものづくりやサービス分野における新たな付加価値の創出源となるとともに、人々に様々な情報・コンテンツを届ける機能を担うことでエンターテインメントや日常のコミュニケーションまで大きく変革するキーデバイスとなることができる。
また同時に、新たなロボットを最大限活かすことができる社会、制度に変えていくことが必要であり、日常的に人とロボットが共存・協働する社会を実現するために必要な前提条件を整えた「ロボットバリアフリー社会」を実現することも不可欠である。
ロボット革命実現会議は、ロボット新戦略に基づき、産官学がそれぞれの取り組みを着実に実施し、更に発展させていくことにより、我が国において必ずやロボット革命を実現し、ロボット大国日本としてロボットを活用した新たな経済社会を世界に向けて発信していくという目標を掲げている。
DATA
取材・文/高橋健一