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日本のロボット輸出比率が8割超 円安の進行が追い風に

日本のロボットサプライヤーは、製造能力を年々拡大している。国際ロボット連盟は、円安の恩恵をうけて、日本のロボット業界にとって有利な展開が続くと予想している。

日本政府が
2015年にロボット新戦略

国際ロボット連盟は昨年9月に、ロボット市場に関する年次報告書を公表した。2012年に、日本はロボット出荷額が約3400億円と、世界シェアの約半数を占めていた。ところが、急成長した中国が、2013年に年間のロボット設置台数で日本を逆転した。それ以来、中国は世界最大のロボット導入国として進化を続けている。

日本政府は2014年に、巻き返しを図ろうと「ロボット革命実現会議」を立ち上げ、その翌年の2015年に「ロボット新戦略」を策定した。新戦略では、ロボットの市場規模を 2020 年までの5年間に製造分野で 2 倍(6000 億円から 1.2 兆円)、サービスなど非製造分野で20 倍(600 億円から 1.2 兆円)とする目標が示された。

輸出台数は過去最高
輸出比率は8割を超える

2022年の日本のロボット市場の現状(出典 国際ロボット連盟)

国際ロボット連盟は昨年9月に、ロボット市場に関する年次報告書を公表した。それによると、日本における2022年の産業用ロボット設置台数は前年より9% 伸びて、5万413台に達した。同年のロボット輸出台数も、前年比12%増となり、2021年の過去最高を上回った。国内生産量に占める輸出比率は、8割を超えるまでに高まっている。

単位:億円(出典 日本ロボット工業会) 

日本のロボットサプライヤーは、製造能力を年々拡大している。25万6807台という数字は、他国拠点の生産を含まない日本国内だけの数字だ。実際は中国の自社工場から直接、中国市場に供給しているものも多いが、日本国内の生産量だけを見ても、2017年から2022年までのあいだに、年平均4%のペースで成長している。経済産業省では、日本のロボット市場は2035年には10兆円規模に拡大すると予測している。

協働ロボットが
中小企業に導入

人間とともに働く協働ロボット

労働力不足などによるオートメーション化のニーズは、世界的に見ても依然として高く、いまや製造業界のみならず、サービス業界や食品業界、物流業界など、あらゆる分野にロボットが導入されている。

特に人間とともに働く協働ロボットの成長が著しく、これまでロボットの導入が困難だった中小企業にますます広がる傾向にある。英国の調査レポートによると、産業用ロボットの世界市場規模は2023年で170億ドル、2028年に325億ドル、市場の平均年成長率は13.8%増で推移すると予想されている。

円安の進行が
ロボット輸出の追い風に

日本ロボット工業会が公表した2022年の年間統計によると、日本の産業用ロボットは、年間受注額、生産額、総出荷額がいずれも1兆円を超えた。その背景には、コロナ禍に伴う自動化需要の高まりなどがあげられる。今後の不安材料は、長期におよぶ部材不足と、巨大市場である中国景気の低迷だ。

日本政府は、国際貿易の停滞に備えて、経済の耐性を高める措置を講じている。2022年5月に成立した「経済安全保障推進法」には、半導体や蓄電池などの重要産業における国内サプライチェーンと生産量の確保を推進する内容が盛り込まれた。経済安全保障政策のもとで、日本のエレクトロニクス業界は、将来に向けて大規模な投資計画を発表している。

高騰するエネルギー価格と円安による原材料費の値上がり、主な輸出先である米国と中国における需要不足が日本経済に対する大きな逆風となっている。しかし、米ドルに対して円安が進行しているおかげで、日本のロボット輸出にとって有利な展開が続くと国際ロボット連盟は予測している。

DATA

日本のロボット設置台数 9%増 ― 国際ロボット連盟(IFR)レポート


取材・文/脇谷美佳子

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