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【自家消費型太陽光発電】工場屋根の有効活用術を解明!

自家消費型太陽光発電は、今日の工場が抱える様々な課題を解決する。そして、今ほど、その導入が求められているときはない。太陽光パネルを設置していない屋根があるなら、ぜひ検討したいところだ。

屋根を活かして課題解決
導入すべき太陽光発電とは?

大企業を中心に、すでに太陽光パネルを設置している工場は少なくない。しかし日本全国、中小規模まで合わせてみると、まだまだ太陽光パネルを載せていない工場が大半だ。

従来、太陽光発電設備を導入する目的は、ほとんどの場合、FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)を使って売電収入を得ることだった。しかし、2020年代初頭から、徐々に、その主流は自家消費を目的としたものに変わってきた。直接の理由は、FITにおける買取価格が下落を続け、発電した電気を「売る」よりも、自ら「使う」ほうがコストメリットが大きくなってきたからだ。そして、電気料金の高騰が、この状況に拍車をかけた。

しかし、自家消費型太陽光発電のメリットは、コスト面だけにあるのではない。上に示したように、そこには、これからの工場経営の課題解決に役立つ様々なメリットが存在する。

自家消費型太陽光なら
多様なメリットを享受できる

気候変動対策として始まったCO2削減への取り組みは、いまや企業価値を左右し、金融機関からの融資にも関わる現実的な課題となっている。自家消費型太陽光発電は、CO2削減に直結する極めて有効な手段の1つだ。その導入は、顧客からも、取引先からも、国からも、今後ますます求められることになる。

災害時の非常用電源としても、自家消費型太陽光発電は重要な役割を担う。広域停電により電力会社からの電気が来なくなっても、太陽光で発電しているかぎり、一定量の電気は使い続けることができる。

今日では、自家消費型太陽光発電設備を導入する手法も多種多様だ。その1つとして、初期投資ゼロで導入できるスキームも一般化してきている。工場の規模を問わず、自家消費型太陽光発電の導入が急がれるとともに、実際に取り組みやすい環境が、いま着実に整いつつあるのだ。

<理由・目的>
なぜ、いま導入すべきなのか?

電力会社の電気料金値上げが続く
太陽光発電による電力を自家消費した分だけ、電力会社から買う電力量を減らすことができる。たくさんの電気を使う製造業にとって、そのコストメリットは大きい。大手電力会社の多くが、2024年1月に電気料金の値上げを実施し、2月と5月にもさらなる値上げを予定している。自家消費型太陽光発電の導入が急がれるところだ。

カーボンプライシングに対応する
CO2排出に対して金銭的負担を求める「カーボンプライシング」が、日本でも動き出す。2023年2月に「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定され、CO2排出量に応じて税金(いわゆる炭素税)を課していくことが定められた。2026年度に排出量取引制度を導入した上で、2028年から化石燃料賦課金(炭素賦課金)の本格導入が始まる。CO2排出量の多い製造業においては、これに備えることが大きな課題となる。自家消費型太陽光発電を導入することはCO2削減に直結し、将来の税負担を軽減することに繋がるのだ。

BCPを強化して、自然災害に備える
自家消費型太陽光発電を導入することで、BCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)を強化することも可能だ。自然災害により停電が発生しても、操業を継続できる可能性が高まり、事業停止のリスクが大幅に低減する。太陽光発電設備とあわせて蓄電池も導入すれば、悪天候や夜間でも一定程度の電気が使えるので、いっそうのレジリエンス強化を図ることができる。

そもそも、太陽光発電の自家消費とは
自家消費とは、所有する太陽光発電設備でつくった電力を、文字どおり自ら消費すること。電力における地産地消といっても良い。発電した電力をすべて自社で使う「完全自家消費型」と、自家消費をしたうえで余った分は電力会社に売る「余剰売電型」がある。いずれの場合も、従来一般的だったFIT売電(全量売電型)とは異なり、工場の消費電力量などを勘案してシステムを構築する必要がある。エネルギーマネジメントの一環として取り組みたい太陽光発電だ。

デマンド低減により、基本料金も下がる
電力会社の電気料金は、一般的に「基本料金+電力量料金+再エネ賦課金等」で算出される。基本料金は1日に使う電力の最大値(デマンド値)に基づくので、太陽光発電によりデマンド値を抑えることで、従量料金である電力量料金に加えて基本料金まで下げることが期待できる。

取引先からの脱炭素要請に応える
昨年ドバイで開催されたCOP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会議)において、「2030年までに世界の再生可能エネルギー設備容量を3倍にする」という誓約が、日本を含む120ヶ国以上に承認された。民間における脱炭素化の動きも加速しており、自社で使用する電力だけでなく、取引先を含むサプライチェーン全体で再生可能エネルギー100%を目指すグローバル企業が増えている。もはや脱炭素化は、大手企業だけの課題ではない。

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