【自家消費型太陽光発電】工場屋根の有効活用術を解明!
2024/01/30
初期投資ゼロで
導入できる方法も!
自家消費型太陽光発電に取り組みたいと考えても、初期費用がネックとなり、導入に踏み切れないケースは少なくない。しかし、今日では、初期費用ゼロで導入できる「オンサイトPPA方式」や「リース方式」も定着してきている。それぞれの特徴を見極めて、最適な方法で導入したい。
オンサイトPPA方式
出典:環境省
発電事業者(PPA事業者)が、契約者(電力需要家)の建物(工場等)の屋根または敷地内に太陽光発電設備を設置。その設備で発電した電気を、契約者に供給する仕組み。太陽光発電設備の導入にかかる初期費用は発電事業者が負担するので、契約者は初期投資をすることなく太陽光で発電した電気を使用することができる。
ただし、太陽光発電設備は発電事業者の所有となり、契約者は消費電力量に応じた「電力利用料」を発電事業者に支払う。余剰電力の取り扱いは契約内容によって異なる。
PPAとはPower Purchase Agreement(電力購入契約)の略で、契約期間は10年から20年の長期に及ぶ。その間の電力利用料の単価は基本的に一律であり、設備の維持管理は発電事業者が担う。契約期間満了後は、契約者に発電設備が無償譲渡されるケースが多い。
なお、PPAには契約者の敷地外に発電設備を建設する「オフサイトPPA」や、再エネ電力の環境価値だけを取り引きする「バーチャルPPA」もある。
リース方式
出典:環境省
リース事業者が、契約者(電力需要家)の建物(工場等)の屋根または敷地内に、リース事業者の負担で太陽光発電設備を設置。オンサイトPPAとの大きな違いは、契約者が支払うのは電力利用料ではなく、太陽光発電設備の「リース料」であるということ。契約者は、設備のリース料金をリース事業者に支払うことで、そこで発電した電力を基本的に自由に使用することができる。設備の仕様によっては、余剰電力を電力会社に売ることも可能。
電気料金の変動リスクを抑え
工場経営の安定化を実現
オンサイトPPAもリースも、初期投資が要らない代わりに、月々の料金(オンサイトPPAでは「電力利用料」、リースでは「設備リース料」)が発生する。これが、現在の電気代と比べて割安であれば、導入を躊躇うことはないだろう。
現実には、工場の消費電力量や設備の規模にもよるので一概には言えないが、多くの事業者が割安感のある価格設定をしている。しかも、契約期間満了にともない設備が無償譲渡され、その後はタダで使うことができる(契約内容によって他のパターンもある)。長期的にみて、大きなコストメリットを得られることは間違いないだろう。
加えて、契約期間中の単価は基本的に変わらないので、電気料金の変動リスクを抑えることができる。このことは、エネルギーコストの予見性を高め、工場の安定経営に貢献する。
自社の工場に最適な導入方法は?
蓄電池をセットで導入し
さらなるメリットを享受
蓄電池もあわせて導入すれば、太陽光発電の「自家消費率向上」、「デマンド値の抑制」、「停電時のBCP対策」をいっそう強化することができる。オンサイトPPA方式においても、リース方式においても、自家消費型太陽光発電と蓄電池をセットにした各種サービスが提供されている。
蓄電池の導入を支援してくれる補助金もあるので、最後に、その一例を紹介する。
取材・文:廣町公則
FACTORY JOURNAL vol.1(2024年冬号)より転載