国内のDX投資、2030年度には2.3倍に ビッグデータ分析や生成AIに注目集まる
2024/05/14
DX関連の国内市場に関する富士キメラ総研の調査から、大手企業のみならず中小企業でもDXへの投資が拡大していく傾向がわかった。企業ヘのアンケートでは、ビッグデータの分析や生成AIに注目が集まっている。
DXへの投資
2030年度には2.3倍に
デジタル技術やデータを活用することで、作業効率の大幅アップなどの革新をもたらす、デジタルトランスフォーメーション(DX)。人材不足や技能の継承、脱炭素化などさまざまな課題に取り組む製造業にとっても、ぜひ推進していきたい取り組みだ。
とはいえ、導入にはコストもかかる。製造業ではどの程度投資されるのか。富士キメラ総研は、DX関連の国内市場投資額を調査し、「2024 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」として公表した。
調査は、製造、小売・外食、金融、医療・介護、交通・運輸・物流、不動産・建設、社会インフラ・その他業界、自治体の8業種と、業種共通として、営業・マーケティング、カスタマーサポート、コミュニケーション、バックオフィス、戦略・基盤の5カテゴリーおけるDX関連市場と注目ソリューションについて、「市場編」としてまとめた。その結果、2030年度の国内市場予測は、2022年度に比べ2.3倍の8兆350億円と予測している。
また、DX関連ソリューションベンダー40社の戦略分析や、DXへの取り組み状況などについて年商10億円以上の企業の従業者612名にインターネットでアンケートをとった結果について、「企業編」としてまとめている。
既存システムをDX化
新事業創出に向けて
デジタルトランスフォーメーション(DX)関連の国内市場(出典 富士経済)
売り上げやマーケティングなどのデータを解析し、経営判断などに活用するデータドリブン経営は、多くの企業の注目を集めているが、その実践には中長期的にDXへの投資が必要となる。DX関連市場は、2023年度には8業種・5カテゴリーで約4兆200億円が見込まれ、今後も拡大が続くとみられている。
製造業では、環境変化への対応や需要の変動などに対し、サプライチェーンやエンジニアリングチェーンを取り巻く環境を整備するためにDXを活用する動きが進んでいる。また、人材不足や技能継承などの課題に対し、業務を標準化して人的依存を避ける取り組みや、デジタル現場支援やスマートファクトリーによって自動化するという動きがある。
2024年問題への対応が課題となっている物流業も、AIを活用して配車やルートを最適化するなど、DXの導入が大手企業を中心に進められている。費用や運用の面で課題はあるが、その流れは中小企業にも広まっていっているという。
ビッグデータ分析、生成AI、
IoTにも注目が集まる
市場編では、注目市場として、生成AIやクラウド型動画自動作成ツールをあげている。2022年のChat GPTの公開に始まり、2023年にはMicrosoftも生成AIの一般提供を開始するなど、注目が集まるにつれ、活用を考える企業も増えてきた。クラウドベンダーなどによる導入支援サービスも広まっており、市場はますます拡大すると見込まれている。
企業編のアンケート結果では、企業のDXへの取り組み状況が明らかになった。既に取り組みを開始し、具体的な施策を実施している企業が約4割で、検討や実証実験段階である企業とあわせると実に7割を超える。今後3年以内に取り組みを開始する計画がある企業を含めると8割以上に達する。。
より活用していきたい技術や手法としては、ビッグデータ分析という回答が半数を超えた他、生成AIと人工知能が約半数、IoTは約4割となっている。スマートファクトリーの実現などに向け、DXの導入がますます拡大されることが期待される。
DATA
取材・文/ダブルウイング