注目キーワード

自動化・ロボット

100万アイテム在庫実現へ。トラスコ中山「プラネット愛知」が示す、次世代物流センターの「答え」

トラスコ中山は新物流センター「プラネット愛知」で3次元高速ピッキングシステム「Skypod®」の本格運用を開始。人手不足の課題を解決し、将来的な100万アイテム在庫と強靭な即納体制を構築する、物流DXの具体的な戦略を示す。

物流現場が直面する「歩行負担」と「探索時間の壁」

日本の製造業を支えるプロツールの供給現場では、商品の種類が増え続ける一方で、ピッキング作業員の確保は困難を極めている。従来の倉庫では、作業員が広大なフロアを歩き回り、多種多様な商品の中から必要なものを探し出す作業が常態化していた。

これは身体的負担が大きいだけでなく、商品探索に時間を要し、出荷リードタイムの長期化や誤出荷のリスクを高める要因となっていたのである。特に、多品種・高頻度出荷が求められる工場用副資材の物流においては、この非効率性が企業の競争力に直結する喫緊の課題であった。

GTP方式「Skypod®」が物流DXを加速

この課題に対し、トラスコ中山は株式会社IHI物流産業システムとExotec Nihon株式会社との協業により、3次元高速ピッキングシステム「Skypod®」を導入した。

Skypod®は、フランスExotec SASが開発した倉庫自動化ソリューションであり、ロボットがラック内を自在に昇降して商品を取り出し、対象アイテムを作業者の手元まで搬送する「Goods to Person(GTP)」方式を採用している。これにより、作業員が倉庫内を移動する負担や商品を探す時間は大幅に削減され、ピッキング作業は劇的に効率化される。

倉庫内で作業員が自動ピッキングシステムを操作している様子

具体的には、31,975BINの保管能力と37台のロボット、4台のステーションが連携し、工具、消耗品、安全用品など、多岐にわたるプロツールのピッキングを高速かつ高精度で実行する。

このシステムは、コンベアやクレーンといった固定設備が不要なため、将来の物量増加や在庫アイテム数の拡大に応じて柔軟に増設できる拡張性も兼ね備えている。これは、単なる省人化に留まらず、限られた人的リソースをより付加価値の高い業務に集中させる「DX」の具体的な実践と言えるだろう。

生産性向上と100万アイテム在庫戦略の実現

「プラネット愛知」でのSkypod®本格運用開始は、トラスコ中山の物流戦略に大きな変革をもたらす。まず、ピッキング作業の効率化と精度向上により、物流センター全体の作業生産性が飛躍的に向上する。これは、人手不足が深刻化する中で、安定した供給体制を維持するための重要な基盤となる。また、作業品質の安定化は誤出荷の削減に繋がり、顧客満足度の向上に直結するだろう。

さらに、トラスコ中山が掲げる「2030年までに在庫100万アイテム以上を保有できる企業になる」という目標達成に向けた強力な推進力となる。現在の約63万アイテムから将来的に100万アイテム以上へと拡大することで、「プロツールなら何でも揃う」という顧客の期待に応え、「必要な時に、必要なものを、必要なだけ」迅速に届ける即納体制を盤石なものにする。

これは、サプライチェーン全体のレジリエンス強化にも繋がり、日本のモノづくりをより強靭に支えることに貢献する。

日本のモノづくりの未来を牽引する物流DX

トラスコ中山の「プラネット愛知」におけるSkypod®の本格運用は、日本の製造業が直面する物流課題に対し、先進的なロボティクス技術とDX戦略を融合させた具体的な解決策を示している。この取り組みは、単にコストを削減するだけでなく、作業環境の改善、生産性の向上、そして顧客への価値提供を最大化する「競争力強化の投資」としてのDXの可能性を明確に示唆する。

今後、この先進的な物流システムが、製造業全体のサプライチェーン変革を加速させ、日本のモノづくりを未来へと牽引していくことを期待する。

詳細情報

編集:ファクトリージャーナル編集部

アクセスランキング

  1. 日本ロボットシステムインテグレータ協会 ロボット導入支援の手引きを作成
  2. 国土交通省 物流施設DX推進実証事業費補助金の2次公募開始
  3. 製造装置・工作機械の世界市場 2028年には1.5倍以上と予測
  4. 高機能プリント基板が拓く未来の製造業。AI・EV・5G/6G時代の競争力強化戦略
  5. IT導入補助金で約9億5000万円分の不正受給 会計検査院が調査
  6. 50~200トン級の壁を越える!超重量物搬送の自動化で製造現場の生産性を最大化する戦略
  7. 人手不足と熟練技能の壁を破る!AIが導く建設現場DXの最前線
  8. 無人搬送フォークリフトで物流改革 MSDとリードテックが協業
  9. 三菱電機、富士通、パナソニック 電機大手3社が過去最高益 2024年3月期連結決算
  10. 製造業のDXを加速!バラ積みピッキング自動化、補助金活用で導入費用を削減

フリーマガジン

「FACTORY JOURNAL」

vol.04|¥0
2024/12/20発行