SDVモビリティ『mibot』が変革する製造現場のDX戦略、量産体制強化で実現する未来の移動体験
2026/10/20
KGモーターズが一人乗り小型モビリティ「mibot」の量産フェーズ移行に向け、経営体制を強化した。DX時代の製造現場が直面する課題に対し、SDV(ソフトウェア定義車両)としてのmibotがどのように新たな価値と効率性をもたらすのか。
開発から量産へ、製造業が直面する多層的な課題
「mibot」の開発を進めるKGモーターズは、現在、開発中心のフェーズから量産フェーズへと移行する大きな転換期を迎えている。この移行期において、製造業の現場が直面する課題は多岐にわたる。
まず、車両開発だけでなく、生産能力の拡大、品質向上、そして原価低減を同時に進め、安定した量産体制を構築する必要がある。これは、サプライチェーンの強靭化(レジリエンス)にも直結する喫緊の課題だ。
さらに、mibotが「ソフトウェアによって車両の機能や価値を継続的に進化させる」SDV(ソフトウェア定義車両)として開発されている点も重要である。これは、従来の製造業における製品開発の常識を覆すものであり、販売後も常に最新の価値を提供し続けるための新たな開発・生産・運用体制が求められる。また、組織の拡大と事業の進展に伴い、開発、ものづくり、事業といった複数の部門にまたがる経営課題が増加し、迅速かつ質の高い意思決定が求められている。
新経営体制が拓く、SDV時代のものづくりとDX
KGモーターズは、こうした事業フェーズの変化に対応するため、技術・ソフトウェア、ものづくり、経営横断・推進の3領域を重要な経営機能として位置づけ、それぞれの責任者を経営メンバーに配置することで、経営体制を強化した。これにより、mibotの量産とその先の事業拡大を強力に推進する基盤を構築する。
CTO 中村奏太氏:SDVの実現を主導し、DXを加速

CTO(Chief Technology Officer/最高技術責任者)に就任した中村奏太氏は、本田技研工業での量産車サスペンション開発やCAE開発の経験に加え、AIエンジニアとしてのプロダクト開発経験を持つ。
自動車メーカーで培った量産車開発の知見とAI・ソフトウェア領域での開発経験を活かし、量産品質と開発スピードを両立させながら、販売後もソフトウェアによって進化し続けるmibotの実現を主導する。
これは、製造業におけるDX推進の核となる「製品のサービス化」を具現化するものであり、顧客への継続的な価値提供を可能にする。
CMO 楠田昌司氏:量産体制を確立し、生産性の壁を突破

CMO(Chief Manufacturing Officer/最高ものづくり責任者)に就任した楠田昌司氏は、マツダでの長年の生産技術経験に加え、トヨタ自動車との米国合弁新工場での車両組立ライン立ち上げ、BEV(電気自動車)領域における生産・電池・拠点戦略の策定など、幅広いものづくり経験を持つ。
その経験を活かし、mibotの生産能力拡大、品質向上、原価低減を推進し、安定した量産体制の構築を主導する。これは、人手不足時代における製造現場の生産性向上とコスト競争力強化に直結し、強靭なサプライチェーンの基盤を築くものとなる。
CoS 市川愛氏:経営と現場を繋ぎ、DXの定着を支援

CoS(Chief of Staff)に就任した市川愛氏は、アクセンチュアで自動車業界を中心に、業務変革、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)、SDV戦略調査などに従事した経験を持つ。
経営の意思決定を各部門の実行に繋げ、全社横断の重要課題を推進する役割を担う。これは、DX推進においてしばしば課題となる「経営層の意図と現場の実践の乖離」を埋め、変革を組織全体に定着させる上で極めて重要な機能となる。
「mibot」が描く、未来の製造現場と移動体験

「mibot」は、最高速度60km/h、航続距離100km(30km/h定地走行テスト値)の一人乗り小型EVとして、日常の短距離移動をより自由で快適なものにすることを目指している。ドアやエアコンを備え、SDVとして販売後も機能や体験を進化させる。
製造業の現場においては、広大な工場敷地内での従業員の移動、部品や工具の運搬など、短距離移動の効率化は長年の課題であった。mibotのような小型EVは、これらの移動にかかる時間と労力を大幅に削減し、従業員が付加価値の高い業務に集中できる環境を創出する。さらに、EVであるため、工場内のCO2排出量削減にも貢献し、GX推進の一翼を担う。
KGモーターズの代表取締役CEO 楠 一成氏は、「mibotはいよいよ、開発するフェーズから、量産し、社会に届けていくフェーズへ進んでいる」と述べ、この新しい経営体制のもと、mibotの量産を確かなものにし、一人乗り・短距離移動という新しいモビリティ市場を創造していくと語る。この取り組みは、単なる製品開発にとどまらず、製造業全体のDX、GX、そして人手不足対策に貢献する新たなソリューションとして、その動向が注目される。
新しいモビリティが切り拓く製造業の未来
KGモーターズの経営体制強化は、SDVという先進的なコンセプトを量産化し、社会実装していくための布石である。技術・ソフトウェア、ものづくり、経営横断・推進という3つの専門領域を経営レベルで統合することで、開発から量産、そして販売後の継続的な価値提供までを一貫して推進する体制が整う。
これは、製造業が直面する複雑な課題に対し、単一の技術や部門で対応するのではなく、経営全体でDXとGXを推進し、新たな市場を創造していくという強い意志の表れである。mibotが日本の製造現場に導入されれば、移動の効率化による生産性向上はもちろんのこと、SDVという概念がもたらす「常に進化する製品」という体験が、従業員のエンゲージメントを高め、組織全体のDX文化を醸成するだろう。
KGモーターズが描く一人乗り・短距離移動という新しいモビリティ市場の創出は、日本の製造業が持続可能な成長を実現し、国際競争力を高めるための重要な一歩となる。同社の挑戦は、未来の製造業のあるべき姿を示唆している。
参照元:KGモーターズ株式会社
編集:ファクトリージャーナル編集部






