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全国安全週間に向けて6月1日から準備期間スタート

労働災害の防止を目的に全国安全週間が7月に実施される。その周知を図るための準備期間が6月1日からスタートする。中央労働災害防止協会は、労使一体となった取り組みを呼びかけている。

今年のスローガンは
みんなで築く職場の安全

全国安全週間は、「人命尊重」の基本理念の下、産業界での自主的な労働災害防止活動を推進し、広く一般の安全意識の高揚と安全活動の定着を図ることを目的に7月1日から1週間にわたって展開される。

97 回目を迎える今年度のスローガンは「危険に気付くあなたの目 そして摘み取る危険の芽 みんなで築く職場の安全」。中央労働災害防止協会(中災防)は、厚生労働省とともに主唱者として職場の安全への取り組みをサポートする。

2023年の労働災害
死傷者数が過去20年で最多

2023年の労働災害による死亡者数は 755 人(前年比 19 人減)で過去最少となったが、休業4日以上の労働災害による死傷者数は 13万5371 人(前年比 3016 人増)で、過去 20 年で最多となった2022年を上回った。

事故の型別でみると、死亡者数は「墜落・転落」、「交通事故(道路)」、「はさまれ・巻き込まれ」の順に多く、死傷者数では「転倒」、腰痛等の「動作の反動・無理な動作」、「墜落・転落」の順となっている。特に、「転倒」、「動作の反動・無理な動作」は近年の増加に歯止めがかからず、死傷者全体で全体の4割を超えている。年齢別では、60歳以上が 3万9702 人(前年比 1,714 人増)となり、全体の3割近くを占めている。中災防は、6月の準備期間、7月1日からの全国安全週間の期間中、各事業場に労働災害防止活動の積極的な実施を働きかける。

中災防が推進する主な取り組み

1.Web サイト内に全国安全週間の特設サイトを設置。実施要綱やリーフレット、コラムの他、危険感受性を高める危険予知訓練(KYT)の紹介、無料で使える KY
イラストシートなど職場ですぐ活用できる情報を掲載。また、ヒューマンエラーによる不安全行動の防止対策に有効な「安全行動調査」、日本国内の外国人労働者向
けオンライン研修「Smile Asia Safety ProjectII」などサービスの紹介を行います。

2.知識・経験の豊富な安全管理士、衛生管理士が事業場に訪問し、安全衛生管理の状況、生産設備・工程や作業方法について改善点を見つけ、アドバイスを行う
「安全衛生診断」を行います。事業場規模 100 人未満の中小規模の事業場には無料の「中小規模事業場安全衛生サポート事業」を実施しています。また、講師を現地に派遣して行う企業内教育や講演は、オンラインによる実施にも対応するなど、事業場のニーズに応じたサービスを提供します。

3.「ゼロ災運動標語」及び「KYT イラストシート」の募集を7月 12 日まで行います。安全意識を高める職場のイベントとして、ゼロ災運動を推進している事業場の
活動の紹介として、また、他の事業場でも利用いただくことを目的として、広く応募を募ります。入選者は令和6年 11 月に広島市で開催する全国産業安全衛生大会
のゼロ災分科会において表彰及び展示を行います。

4.職場の安全活動の活性化や現場力強化を目的とした「職場自主活動の定着・活性化セミナー」、「コミュニケーションを活かした問題解決力向上セミナー」、「危
険予知活動トレーナー能力向上セミナー」を開催します。また、高年齢労働者に対する労働災害防止対策を目的とした「高年齢労働者の転倒・腰痛予防から労務管理までを学ぶセミナー~エイジフレンドリー 社会の実現に向けて~」を開催します。

5.熱中症予防対策では、5月から展開中の「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」(主唱:厚生労働省、労働災害防止団体等)を周知していきます。特に7月は同キャンペーンの重点取組期間です。中災防では暑さ指数の把握とその値に応じた熱中症予防対策の実施を事業場に対して特設サイトやリーフレット等で引き続き呼びかけます。

DATA

令和6年度 全国安全週間
 


取材・文/高橋健一

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