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【フォーミュラE 東京】レースとサステナビリティの共存を目指す

日本初開催で注目を浴びたフォーミュラE「2024 Tokyo EPrix」。東京ビッグサイト周辺に設けられたコースを予選、決勝と11チームが争った。電気自動車という点から、サステナビリティにも注目してみよう。

<目次>
1. 2万人の来場者が熱狂したレースの結果は…
2. ハイパフォーマンスレースと サステナビリティの共存
3. 東京を走ったGEN3マシン

 

2万人の来場者が熱狂したレースの結果は…

フォーミュラEは電気自動車界のF1とも呼ばれ、少ない環境負荷でハイパフォーマンスなレースを世界に届けている。

日本からは日産がレースへ参戦。
メーカーを含む11のチームと、22名のドライバーが東京ビッグサイトに設けられたトラックに挑んだ。

予選では0.21秒もの僅差で日産ドライバー(ローランド選手)が1位を獲得。

予選1位のドライバーは、ポールポジションと呼ばれる有利なポジションから決勝戦をスタートできるのだ。

決勝戦は、日産のローランド選手と、予選2位のマセラティのギュンター選手が優勝争いをした。33周の駆け引きの末、マセラティが優勝を勝ち取った。

ハイパフォーマンスレースと
サステナビリティの共存

2014年の初開催以来、フォーミュラEは、カーボンフットプリントを正味ゼロにした世界初のスポーツだ。

創⽴から電気⾃動⾞の普及と開発を加速させるとともに、⼈類の持続可能な進歩を推進することを最大のミッションとして掲げている。

使用される電力

水素化植物油(HVO)と呼ばれるバイオ燃料で発電された電力をEV充電に使⽤することで、通常のディーゼル燃料と⽐較してCO2排出量を90%削減。

マシンを充電する設備にはABBの技術が提供され、本大会公式の充電パートナーとなっている。

各充電器は最⼤160kWの電⼒を供給でき、80kWの電⼒でマシン2台を同時に充電可能。これにより、レースチームは1基で「ダブル充電」が可能となり、1⾞両ごとに1基を必要としなくなるため、充電器の設置⾯積を⼤幅に削減し、輸送時のCO2排出量も削減された。

東京を走ったGEN3マシン

大会で使用されたGEN3マシンは、使われなくなったGen2マシンからリサイクルされたカーボンファイバーを使⽤。廃棄されるカーボンファイバーは、航空業界で再利⽤する。

バッテリーセルも寿命が尽きればリサイクルされ、タイヤは26%が天然ゴムと再⽣繊維で構成されており、レース後にすべてのタイヤが完全にリサイクルされる。

GEN3マシンって?
・最⾼時速322km/hを超えるフォーミュラE最速のマシン
 
・最⼤350kW(470BHP)のパワーを発揮する電気モーターの電⼒効率は、内燃エンジンが約40%に対し、約95%を達成
 
・史上初、フロントとリアの両⽅にパワートレインを搭載したフォーミュラカー
 
・新しく搭載されたフロント・パワートレインにより、リアの350kWに250kWが追加され、現⾏のGen2マシンの回⽣能⼒の2倍以上となる合計600kWを実現
 
・レース中に使⽤されるエネルギーの約50%が回⽣ブレーキによって⽣み出される、フォーミュラカー史上最も効率の良いマシン(レースで使⽤するエネルギーの約半分を⾛りながら発電する、「⾛る発電機」)

成功を収めた初開催

日本初開催されたフォーミュラEは、来場者2万人、即日チケットが完売するなど、大きく盛り上がりを見せた。その背景には、レースとサステナビリティの集大成があった。


素材提供:Formula E
文:中村 昂志(ソーラージャーナル編集部)

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