事業再構築補助金 支援枠を見直して公募を再開、ポストコロナ支援に重点
2024/04/30
2023年11月の行政事業レビューで「抜本的に事業を構築し直すべき」と指摘されていた事業再構築補助金について、経済産業省は4月23日、支援枠を大幅に見直し、ポストコロナに対応した事業者支援に重点を置いた形で公募を再開した。
ポストコロナに対応した
事業者支援に重点
中小企業等事業再構築促進基金は2021年度、「ポストコロナ」と「ウィズコロナ」の時代における経済社会の変化に対応するため、中小企業の事業再構築を支援することを目的として創設された。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上回復が難しいなか、ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために、新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業・業種転換、事業再編、国内回帰・地域サプライチェーン維持・強靱化、またはこれらの取り組みを通じた規模の拡大など、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的としている。
しかし、2023年11月の行政事業レビューでは、従来の事業再構築補助金について、「新型コロナ対策としての役割は終わりつつあるので、基金のうちそれにかかる部分は廃止し、もしくは抜本的に事業を構築し直すべき」、「申請書・財務諸表の精査、四半期ごとのモニタリングといった仕組みが確立されない限り新規採択は一旦停止すべきであり、それができない場合は基金として継続する必要は認められないため、国庫返納して通常の予算措置とすべき」、「審査の厳格化とデータの収集の厳格化については、引き続き十分な検討が必要である」などの提言があった。
このため、第12回公募から既存の事業類型を見直し、いまなおコロナの影響を受ける事業者への支援や、ポストコロナに対応した事業再構築をこれから行う事業者への支援を重点化することにした。
抜本的な見直しの
3つのポイント
1 制度的対応
・複雑だった支援枠を簡素化
・事前着手制度の原則廃止
・コロナ債務を抱える事業者の支援を重点的に行う
2 事務局審査の改善・体制強化
・AIを活用して類似案件排除を強化(同じ計画書の使いまわしを防止)
・一定期間に特定トピックの申請が集中した場合、審査を厳格化
・システムを刷新し、審査を標準化・高度化
3 EBPM※1 強化
・事業化段階の報告を四半期毎に行のを義務化
なお、事業計画の検討に際して、外部の支援を受ける場合、高額な成功報酬等を請求する悪質な業者などがいるので注意(トラブル通報窓口:03-6810-0162)
※1 EBPM:(Evidence Based Policy Making)客観的な証拠に基づくエビデンス・ベースの取り組み
公募要領のまとめ
コロナで抱えた債務の借り換えを行っている事業者等への支援として「コロナ回復加速化枠」が新たに創設された。それにより、今なおコロナの影響を受ける事業者への支援を重点化された。
また、成長分野への事業再構築やグリーン分野での事業再構築などを行う事業者への支援として「成長分野進出枠」、国内サプライチェーン及び、地域産業の活性化に取り組む事業者(製造業)への支援として「サプライチェー ン強靱化枠」を措置するなど、ポストコロナに対応した事業再構築をこれから行う事業者の取り組みを重点的に支援する。
【公募期間】
公募開始:2024年4月23日(火)
申請受付:調整中
応募締切:2024年7月26日(金)18:00
【申請方法】
○ 申請は、電子申請システムでのみ受け付け。入力については、電子申請システム操作マニュアルに従って作業する。入力情報については、必ず申請者自身がその内容を理解し、確認の上、申請者自身が申請)。同一パソコンから大量に申請がある場合などは、個別に事情を伺う場合も。正当な事由なく、申請者自身による申請と認められない場合には、申請は不採択となる。
○ 本事業の申請には、GビスIDプライムアカウント※2の取得が必要。未取得の場合は、利用登録を行う。
※2 GビスIDプライムアカウントの発行はこちらから
アカウント発行には、1週間ほど時間かかる。アカウントの取得手続きの遅れによる申請期限の延長等は一切認められないので、時間に余裕をもって準備する。
DATA
◆公募要領
「事業再構築補助金」の第12回公募を開始しました
取材・文/脇谷 美佳子