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人手不足と高経年化に終止符を。四足歩行ロボットが実現する、製油所「予知保全」の未来

コスモ石油が東北エンタープライズの協力のもと、堺製油所で四足歩行ロボット「Spot」を活用した設備点検の概念実証(PoC)を開始した。本取り組みは、高経年化設備の保全高度化と人手不足の解消を目指し、製油所のデジタルプラント化を加速させる。製造業の経営層、工場長、生産技術部門のリーダーに向け、ロボット導入による経営課題解決への道筋を提示する。

課題提起:高経年化設備と人手不足が突きつける、製造業の「保全」の限界

製油所のような基幹産業の施設では、稼働から50年以上が経過した装置も少なくない。こうした高経年化設備は、予期せぬ故障のリスクを増大させ、安全・安定操業を脅かす要因となる。従来の設備点検は、人の五感に頼る部分が大きく、広大な敷地や危険な場所での作業は、効率性だけでなく作業員の安全確保においても限界があった。

さらに、製造業全体で加速する人手不足は、熟練技能者の確保と継承を困難にし、定期的な点検業務の継続性そのものにも影響を与えている。これらの課題は、企業のレジリエンス(強靭性)を低下させ、結果として生産性や収益性にも直結する経営リスクとなるのだ。

解決策:四足歩行ロボット「Spot」が切り拓く、自律型設備点検の最前線

コスモ石油は、こうした課題を解決するため、製油所のデジタルプラント化と保全の高度化を推進している。その具体策の一つとして、株式会社東北エンタープライズの協力のもと、四足歩行ロボット「Spot」(米国Boston Dynamics社製)を活用した自律型設備点検のPoCに着手した。

この四足歩行ロボットは、人の立ち入りが困難な場所や、定期的な巡回が必要な設備に対して、自律的に走行し、各種センサーを用いて設備データを取得できる。これにより、従来の点検業務と比較して、効率化と安全性向上に大きく寄与することが期待される。特に、人の五感では認識が難しい初期異常の検知や、継続的かつ網羅的な設備状態の把握が可能となる点は、予知保全の精度を飛躍的に高める鍵となる。

産業施設内で、黄色いBoston Dynamics社製のロボット犬「Spot」が巡回している様子。

PoCで検証された「現場のリアル」

2026年5月下旬に、コスモ石油堺製油所(大阪府堺市)の排水処理設備エリアで実施された現場検証では、以下の実証内容が確認された。

  • ・現場環境での設備点検の実現性確認

  • ・各種センサーを用いた設備の状態確認の精度検証

  • ・ロボット活用に向けた課題整理

この検証を通じて、ロボットによる自律走行や設備データ取得の有効性が確認され、将来の現場適用に向けた具体的な知見が得られた。

産業施設で、黄色の四足歩行ロボットが緑色の光を放ちながら移動している様子。

導入効果と未来展望:デジタルツインとAIが支える、次世代の「予知保全」

今回のPoCで得られた知見は、設備点検業務におけるロボット活用の検討を段階的に進めるための重要な基盤となる。コスモ石油は、今後、自律走行の安定性やデータ取得精度の検証、取得データの解析・活用による異常検知の高度化、そして現場における運用性など、総合的な適用可能性を評価する計画だ。同時に、製油所での利用に必要な安全対策についても検討を進める。

この取り組みは、コスモエネルギーグループが掲げる長期ビジョン「Vision 2035」における石油事業の安定供給・競争力強化、そして製油所のデジタルプラント化を推進する一環である。すでに全3製油所にデータ統合基盤を導入し、図面や検査記録、運転データ、保全計画などの一元管理を実現している。蓄積されたデータをAIで分析・活用することで、設備の異常予兆検知や保全計画の高度化といった予知保全の取り組みを加速させているのだ。

四足歩行ロボットの導入は、こうしたデジタル技術と組み合わせることで、高経年化設備の保安力向上と省力化に大きく貢献し、製造業の経営課題を解決する強力な手段となる。予知保全の強化は、突発的な設備停止リスクを低減し、安定稼働による生産性向上、ひいては企業収益の最大化に直結する。

コスモ石油は、現場検証の結果から有効性・効果を見極めたうえで、将来の導入に向けた検討を推進し、デジタル技術の活用を通じて製油所の安全・安定操業の確保と競争力強化の両立を図る。これは、日本の産業インフラが抱える課題に対し、先進技術で「答え」を提示する、製造業全体の未来を拓く力強いメッセージとなるだろう。

コスモ石油株式会社の詳細はこちら:
https://www.cosmo-energy.co.jp

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