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第11回ロボット大賞、ファナックの高精度6軸多関節ロボットが経産大臣賞に

経済産業省と一般社団法人日本機械工業連合会は、第11回ロボット大賞を発表した。最優秀の経済産業大臣賞には、ファナックの高精度6軸多関節ロボットが選ばれた。

ロボット技術の発展や
社会実装の促進を目指す

ロボット大賞は、日本におけるロボット技術の発展や社会でのロボットの活用を促進するため、優れたロボットやロボットに関する研究、人材育成などを表彰する制度だ。経産省と日本機械工業連合会が、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省との共催により実施している。2006年度から始まり、2008年度からは隔年での開催されていて、今回で11回目を数える。

今年度は85件の応募の中から、第11回ロボット大賞審査特別委員会等の審査により、各賞が決定した。分野別の大臣賞が6つと、中小企業庁長官賞(中小・ベンチャー企業賞)、日本機械工業連合会会長賞、審査員特別賞、分野ごとの優秀賞がある。大臣賞は、経済産業大臣賞(全部門、全分野)、総務大臣賞(主に高度ICT基盤技術部門、ICT利活用分野および消防分野)、文部科学大臣賞(主に研究開発部門、人材育成部門)、厚生労働大臣賞(主に介護・医療・健康分野)、農林水産大臣賞(主に農林水産業・食品産業分野)、国土交通大臣賞(主に社会インフラ・災害対応分野)となっている。

経済産業大臣賞は
ファナックの高精度6軸多関節ロボット

ファナックの世界最小の大型加工機 高精度本格加工ロボットM-800(出典 第11回ロボット大賞)

最優秀の経済産業大臣賞には、ファナック株式会社の「世界最小の大型加工機 高精度本格加工ロボット M-800」が選ばれた。これは、これまでの加工機では困難だった高精度な加工を実現する高精度6軸多関節ロボットで、高水準の高剛性や±0.1mm以下の絶対精度、加工反力を受けても高い精度を維持できるといった特徴がある。

これまでのロボットでは不可能だった作業を可能にし、省スペース効果、低コスト化の効果は高い。今後の利用拡大も見込まれ、このロボットに導入された技術の横展開も期待できることなどが評価のポイントとなっている。

中小企業庁長官賞は
ハーモテックの非接触搬送技術

ハーモテックのKUMADE-FORK(ECシリーズ)(出典 第11回ロボット大賞)

中小企業庁長官賞(中小・ベンチャー企業賞)には、株式会社ハーモテックのKUMADE-FORK(ECシリーズ)が選ばれた。これは、ベルヌーイ方式やエジェクターを複合的に利用して、非接触搬送を行い、脆弱な極薄ウェハを傷つけずに優しく搬送する技術で、消耗部品がなくランニングコストがかからない。国の流通特許事業で、使われていなかった特許を引き受けて実用化した。

これまで困難だった薄く大型のウェハの搬送を、吸引固定することで接触せずに裏返すことができる技術は、ほかに例がないという。また、応募者独自の技術であり、今後に大きく波及効果の高い技術であることが評価のポイントとなっている。

審査員特別賞は
自立型ロボットのコンクール

マイクロマウス(出典:第11回ロボット大賞)

審査員特別賞には、公益財団法人ニューテクノロジー振興財団のマイクロマウスが選ばれた。これは、自作した自立型ロボットが迷路を自律的に探索し、ゴールに到達する最短時間を競う競技だ、1977年にIEEE(米国電気電子学会)が提唱し、1980年からは日本で「全日本マイクロマウス大会」として毎年開催されている。

開催が長期にわたっており、コンセプトが優れ、毎年多くの参加者を集めている。参加者は競技を通してエンジニアリングスキルを身につけており、人材育成という観点で評価された。

その他、国土交通大臣賞に輝いた鉄筋結束ロボット「トモロボ」、日本機械工業連合会会長賞を受賞した自律走行搬送ロボット 「ラピュタPA-AMR」など、生産性の向上につながることが期待される独創的な自動化装置や取り組みが表彰された。

DATA

第11回ロボット大賞が決定しました!

取材・文/ダブルウイング

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