5Gに対応したゲートウェイ「IP50G」が発売。 中小企業の工場をスマートファクトリー化。
2024/01/15
無線通信機器のアイコム株式会社が携帯キャリアが提供する高速通信規格(5G)に対応したゲートウェイ「IP50G」(オープン価格)を新開発。2023年12月6日に発売が開始した。
工場を手軽に5G環境に
新製品 IP50G(出典 アイコム株式会社)
「IP50G」は、異なるネットワーク間をつなぐ機器(ゲートウェイ)で、映像・音声・センサー機器など様々な通信機器を5Gの通信網につなぐ。
5Gのほかにも、Wi-Fi 6(IEEE802.11ax)準拠の無線通信や、有線LANインターフェース、USBポートなど各種IoT機器の入出力端子なども搭載している。
携帯キャリアの5Gを活用するので、工場で大掛かりな工事不要で5G環境にできるのが特徴。中小企業の工場向けに開発された。
大容量のデータを高速に多数の端末とやりとりできる5Gを使えば、工場および敷地内にケーブルを張り巡らせることなく、無線で、大容量の映像などもシームレスに機器同士が送受信できるようになる。
5Gネットワーク(出典 アイコム株式会社)
「IP50G」は、工場内のあらゆる機器を無線でつなぐハブとなるデバイス。今後ますます工場内における各種センサーや映像など大容量のデータを扱うデバイスが増え、社員もVR機器など様々なデバイスを持ち歩き、あらゆる産業機器のIoT化が進むことが予想される。
インターフォンなどの映像関連機器や構内放送の音声機器など従来のアナログ装置もまだまだ残っているが、「IP50G」は、それらすべてのハブとなるキーデバイスだ。工場設備やライン構築のレイアウトフリー化の一端も担うことになる。
工場から本社へのデータ転送はVPNを使いセキュリティー対策も万全。地方にある工場のデータを本社に転送する場合、5Gの通信にはVPNを使うため、セキュリティー上も安心だ。
最次世代の「ものづくり」の生産管理も提案
アイコムはKDDIと、携帯キャリアの5Gを活用した自社工場の「スマートファクトリー」化に取り組み、検証実験を行なっている。たとえば、工場作業員の動作をパソコンのウェブカメラで撮影しながら、そのデータを新製品経由で本社に送り、AIで解析し、より効率的なものづくりに生かせないかのテストをしている。
今後も、大量のデータを高速に多数の端末とやり取りできる5Gの特長を、工場(ものづくり)にどのように生かせるか、新製品を使い検証していく。
「IP50G」5つの特長
①組み込みプラットフォーム
SDKを使って開発、設計したアプリケーションを書き込むことで動作するため、ユーザーニーズに合わせて柔軟性の高いシステム構築が可能。
②5GとLTE回線を利用したルーティングに対応
5Gの各周波数帯と合わせて、LTEの各周波数にも対応。
③IEEE802.11ax準拠のIPゲートウェイ
5GHz帯では理論値最大1.2Gbps、2.4GHz帯では理論値最大574Mbpsの通信が可能。
④ギガビットイーサネットに対応
有線LANは100BASE-TX /1000BASE-T/2.5GBASE-Tの自動識別、MDI/MDI-Xの自動識別に対応。
⑤本体に装着可能な防塵ユニットを用意
専用オプションMBZ-2を本体に装着することで、IP5Xの防塵性能を備えることが可能。粉塵の舞う工場などでも安心して使える。また、壁掛け設置もでき、マストへの固定(別途MB-89が必要)も可能。
製品詳細
商品名 IP50G
発売日 2023年12月6日(水)
価格 オープン価格
重さ 約1.7キログラム(本体)
サイズ 高さ68mm×幅258mm×奥行き180mm
DATA
携帯キャリアの5Gに対応したゲートウェイ開発。中小企業の工場をスマートファクトリー化。次世代の「ものづくり」の生産管理を提案。
取材・文/脇谷美佳子