非エンジニアがAIで製造業DXを加速:月450時間削減を実現した『学びと挑戦』の経営戦略
2026/07/23
タキヒヨー株式会社の社員が「日本DX大賞2026」の「AIインパクト賞」を受賞した。非エンジニアの立場から生成AIを活用し、BI基盤の内製化や需要予測、効果測定を実現。全社で月450時間の工数削減を達成し、製造業におけるDX推進の新たな可能性と、社員の自律的な学びがもたらす経営への貢献を示している。
製造業DXが直面する課題:実効性と内製化の壁
多くの製造業がDXの重要性を認識し、デジタル化を推進している。しかし、その過程で「導入したものの、現場に定着しない」「外部ベンダー依存から抜け出せない」「具体的なコスト削減や生産性向上の効果が見えにくい」といった課題に直面することも少なくない。
特に、BI基盤の構築や需要予測といった基幹業務へのAI適用は、高度な専門知識を要すると考えられ、内製化へのハードルは高いとされてきた。
非エンジニアが拓くAI活用の新境地:タキヒヨーの挑戦
タキヒヨー株式会社のマーケティングセクションマーケティングチーム兼DX推進チームに所属する山口 比奈子氏は、この難題に挑み、見事に解決策を提示した。
非エンジニアという立場ながら、独学とリスキリングを通じてAWS認定資格を取得。その後、生成AI(AWS GenU)を駆使し、BI基盤、需要予測、効果測定といった重要機能を自社で内製化したのである。これは、外部に依存することなく、自社の業務に最適化されたAIソリューションを構築する道筋を明確に示した。

この取り組みは、一般社団法人 日本デジタルトランスフォーメーション推進協会(JDX)が主催する「日本DX大賞2026」において、DX推進を牽引した個人の功績を称える「AIインパクト賞」として高く評価された。受賞の背景には、AIによって個人の能力が大きく拡張され得ることを自ら実証し、社内に「学びと挑戦」の連鎖を生み出した点がある。
月450時間の工数削減と「学びと挑戦」の文化醸成
山口氏によるAIの内製化は、具体的な経営効果をもたらした。全社で月450時間もの工数削減を実現。これは、人手不足に悩む製造現場において、従業員が高付加価値業務に集中できる時間を創出し、生産性向上に直結する大きな成果と言える。
また、この事例はAWSの公式事例としても紹介されており、その先進性と実効性が裏付けられている。単なる技術導入に留まらず、従業員の自律的な学びと挑戦を促し、組織全体のDX文化を醸成した点は、持続的な企業成長の鍵を握る。
日本DX大賞サミットでの詳細発表
この先進的な取り組みは、2026年7月23日(木)に開催される「日本DX大賞2026 サミット&アワード」のポスターセッションで詳細が発表される。
「創業270年を超える老舗企業を『動かす』双方向のDX。非エンジニアによる生成AI開発の内製化と、挑戦を受容する組織のあり方」と題し、現場で変革を起こした当事者の声が直接語られる貴重な機会となる。

本イベントでは、山口氏の事例だけでなく、他の企業や自治体、教育機関による21組の現場DX実践事例がポスター形式で展示され、直接対話する機会が設けられている。製造業の経営層やDX推進担当者にとって、具体的なヒントや成功事例を学ぶ絶好の機会となるだろう。
未来を拓く、自律的な学びとDX推進
この事例は、DXが特定の部署や専門家だけでなく、全社員の「学びと挑戦」によって実現されることを示唆している。変化し続けるビジネス環境において、企業が新たな価値を創出し、レジリエンス(強靭性)を高めるためには、社員一人ひとりが自己の可能性を広げ、自律的にスキルを習得する機会を提供することが不可欠だ。
タキヒヨーの取り組みは、人手不足や生産性向上といった製造業の喫緊の課題に対し、AIとリスキリングを組み合わせた有効な解決策となり、未来の製造業を切り拓くモデルケースとなるだろう。






