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繊細作業も可能にする7軸協働ロボット「KURAVIZON」販売開始

限られたスペースでも柔軟に動作し、繊細な作業を自動化。クラボウは米Flexiv社と提携し、7軸協働ロボットと独自の3Dビジョンセンサーによる自動化システム「KURAVIZON」の販売を開始した。

人手不足や作業の高度化に直面する現場で、次世代の協働ロボットに寄せられる期待は年々高まっている。こうした中、クラボウはアメリカのロボットメーカーFlexiv社と業務提携し、7軸協働ロボットと独自の高速3Dビジョンセンサーを組み合わせた新たな協働ロボットシステム「KURAVIZON(クラビゾン)」を開発。2025年1月9日より販売を開始した。高度な力制御機能と視覚認識能力を備えた本システムは、製造業のみならず研究機関でのラボラトリーオートメーションにも活用が期待されている。本記事では、クラボウとFlexivの先進的な連携と、新製品「KURAVIZON」の特長に迫る。

以下、クラボウ(倉敷紡績株式会社)のプレスリリースより。

7軸協働ロボットシステム『KURAVIZON』を販売開始
~アメリカ「Flexiv」社と業務提携契約を締結~

No.515
2025年1月9日

クラボウ(資本金 220億円、本社 大阪市中央区、社長 西垣伸二)環境メカトロニクス事業部は、アメリカのロボットメーカーFlexiv Robotics,Inc.社(以下Flexiv社)(注1)と業務提携契約を締結しました。当社の高速3Dビジョンセンサー「KURASENSE(クラセンス)」(注2)とFlexiv社の7軸協働ロボット「RIZON(ライゾン)」とを組み合わせたオートメーションシステム「KURAVIZON(クラビゾン)」を開発し、販売を開始します。

また、今回の業務提携契約締結により、クラボウはFlexiv社の7軸協働ロボット「RIZON」の日本国内での販売も開始し、環境メカトロニクス事業部では、2025年4月から始まる次期中期経営計画の期間中に、年間10億円規模の売上を目指します。


「KURAVIZON(クラビゾン)」※イメージ

1.業務提携の背景と今後の展開
現在、世界各国で自動化を目的とした協働ロボットの導入が進んでおり、今後も多くの需要が見込まれています。そのような中、クラボウの「KURASENSE」は、ロボットの「眼」と「脳」の機能をもつ高速3Dビジョンセンサーとして、ケーブルやコネクタの嵌合やはんだ付けなど、線状物を扱う作業現場に数多く導入されています。最近では、企業や大学などの研究機関から、研究・実験工程の自動化(ラボラトリーオートメーション)のご相談案件も増えてきております。研究や実験の工程では、様々な器具や装置を使用した、試薬の添加や測定などの作業があります。これらの工程を自動化するためのロボットには、高精度、高再現性に加え、限られたワークスペースでの作業、高いコストパフォーマンスが求められます。クラボウでは、この課題を解決するため、「KURASENSE」と汎用多軸協働ロボット、そしてそれらを制御するソフトウェアを組み合わせたシステム構築を検討してまいりました。

一方、アメリカのFlexiv社は、受けた力を感じて適切に動作させる機能(力制御)に優位性をもつ「アダプティブ・ロボット」の開発を目的として、2016年に設立されたディープテック企業です。Flexiv社の協働ロボットは、7軸ならではの柔軟な動作性だけでなく、「押す」「引っ張る」といった力を感じる力覚センサーが組み込まれており、高い作業精度と検知機能を有しています。Flexiv社の7軸協働ロボットと「KURASENSE」の組み合わせにより、自動化ロボットシステムをさらに飛躍させることができると判断し、今回の業務提携契約の締結および「KURAVIZON」の開発、販売に至ることとなりました。

クラボウは、今回のFlexiv社との協業を契機として、あらゆる作業の自動化を目指した製品・サービスの開発に注力してまいります。

2.販売を開始する製品の概要
(1)クラボウの7軸協働ロボットシステム「KURAVIZON」

「KURAVIZON」は、クラボウの高速3Dビジョンセンサー「KURASENSE」と、Flexiv社の7軸協働ロボット「RIZON」などで構成するロボットシステムです。
ラボラトリーオートメーションでは、人間の手で実施されている様々な工程をロボットに置き換えることで、研究開発の効率化を図るとともに、正確で反復性のある結果が得られることを目指します。また、ファクトリーオートメーションでは、電気・電子部品の製造現場における、小さく細いケーブル等の線状物を掴んでコネクタに嵌合する作業など、本来は人の手を要する繊細な作業の自動化や管理業務を支援します。

<KURAVIZON(クラビゾン)の特長>
①高度な力制御機能により、協働作業時に人や物に接触したことを高感度に検知できるとともに、「押す」「引っ張る」といった動作を自動で補正し、作業を継続することが可能です。これらの検知・制御等の機能が向上することにより、材料の搬送やコネクタの嵌合など、あらゆる不定形物を扱う作業の自動化を実現します。

②7軸協働ロボットは、現在一般的な6軸協働ロボットよりも可動域の死角が少なく、繊細な動作が可能です。工場内の作業現場はもちろん、企業や大学の研究室などの限られたワークスペースでも高いパフォーマンスを発揮します。

■販売開始:2025年1月9日
■コアキット(最小システム)構成
①ケーブル認識用高速3Dビジョンセンサー「KURASENSE」
②Flexiv社製 7軸協働ロボット
※その他の仕様やシステム構成については別途お問い合わせください。
※アプリケーションに合わせたオプション機器をご用意いたします。


「KURAVIZON」※イメージ

(2)Flexiv社の7軸協働ロボット「RIZON」
Flexiv製の7軸協働ロボットは下記の3つのモデルから選択できます。
■販売開始:2025年1月9日 
■販売製品
①4㎏可搬モデル(最大リーチ:955㎜)
②4㎏可搬 高精細モデル(最大リーチ:990㎜)
③10㎏可搬モデル(最大リーチ:1015㎜)
※アプリケーションに合わせたオプション機器をご用意いたします。


「Flexiv社7軸協働ロボット」※イメージ

3.お問い合わせ先
<製品に関するお問い合わせ>

クラボウ 環境メカトロニクス事業部 画像情報課 (担当)小松
住所:大阪府寝屋川市下木田町14-30 クラボウ先進技術センター
TEL:072-812-5206 FAX:072-812-5263  E-mail:msg@kurabo-grp.com
Webサイト https://www.kurabo.co.jp/

<報道に関するお問い合わせ>
クラボウ 総務部 コーポレートコミュニケーション課 (担当)野中 
住所:大阪市中央区久太郎町2-4-31
TEL:06-6266-5053  FAX:06-6266-5555 E-mail:pr_grp@kurabo-grp.com
クラボウ コーポレートサイト https://www.kurabo.co.jp/

(注1)Flexiv社(Flexiv Robotics, Inc.)について
2016年にアメリカ・カリフォルニア州で設立。独自の力制御機能と高い視覚認識能力で、人間のような手と目の強調タスクを実行する7軸協働ロボットの開発と製造に取り組むディープテック企業。
【所在地】4500 Great America Parkway, STE 210, Santa Clara, CA 95054(本社)
【代 表】Shuyun Chung(共同創業者 & Chief Robotics Scientist)
【Flexiv社 Webサイト】 https://www.flexiv.com/

(注2)高速3Dビジョンセンサー「KURASENSE(クラセンス)」について
従来の一般的なロボット用ビジョンセンサーは、形状が曲がったりねじれたりするケーブルなどの柔軟物や不定形物を認識してロボットにハンドリングさせることは困難でした。そこで当社の強みである高速画像処理技術と3D計測技術を生かして、柔軟物・不定形物の認識に特化したクラセンスを開発し、2020年から販売を開始。自動車部品製造業界や電子デバイス製造業界などの製造現場において、ロボットの「目」と「脳」の役割として活用されています。
【KURASENSE Webサイト】 https://www.kurabo.co.jp/

引用:https://kyodonewsprwire.jp/

次世代自動化を支える新ソリューション

今回の業務提携と「KURAVIZON」の発売により、クラボウは従来の自動化の枠を超え、より柔軟かつ精密な作業領域へのアプローチを可能にした。研究開発現場や精密製造工程など、人的リソースに頼りがちだった領域に対して、省力化と再現性向上の両立を図る強力なソリューションとなるだろう。今後の導入事例や応用範囲の拡大にも注目が集まる。引き続き本メディアでは、次世代ものづくりを支える革新的テクノロジーの動向を追っていく。

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