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【業界レーダー】オーダーメイド型の製造現場はどのようにスマート化するべきか?

製造現場におけるIoT化の現状と課題を聞くレポートの第2弾。造船業を営む企業が多く加盟する日本中小型造船工業会に、スマートファクトリーとどのように向き合っているのか、話を聞いた。

人手不足への対処が喫緊の課題
標準化に向け現状把握に取り組む

国内外を航行する貨物船や旅客船を建造・修繕する造船所、関連企業が加盟する日本中小型造船工業会。普通会員と賛助会員を合わせて86社が参加している(2024年5月現在)。中小型造船業の特徴について、事務局の丸吉孝一氏は「会員造船所の多くは同じ種類の船を一度にたくさん建造するのではなく、顧客の要望に沿って1隻ずつ受注生産でさまざまな種類の船を建造しています。また、造船業はいわゆる労働集約型の製造現場であり、限られた敷地内にドックまたは船台、ジブクレーンといった大型設備が多くあるので、設備の入れ替えやレイアウト変更をしにくい側面もあります」と話す。

スマート化の現状に関しては、消耗品の在庫管理や鋼材の発注作業などにIoTを活用して、業務の効率化を図っている会員企業もあるという。「他の多くの産業と同じく、中小型造船業も人手不足という課題に直面しています。スマート化に取り組む大きな目的の1つは、自動化や省力化をして人手不足に対処することです」。

オーダーメイドが主流である中小型造船業において、スマート化を進めるために必要なこととは何か。「競争力を生む領域を見極めた上で、効率化や利益を優先した業務や部材などの標準化に向けて現状を把握すること。標準化できればIoTも導入しやすくなると考えています」と丸吉氏は語った。

Q1.スマートファクトリー化の現状は?

A.省力化や見える化で作業効率アップ
消耗部品などの在庫管理を自動化する他、作業進捗を見える化することによって、作業者が目標を持って作業するようになり、作業効率の向上につながった会員企業もある。

Q2.スマートファクトリー化の目的は?

A.人手不足への対策に役立てたい
地域の産業として古くからある中小型造船業においても、人材不足は大きな課題。生産性の向上に加えて、省力化などによって人材不足に対処したいと考えている会員企業も多い。

Q3.スマートファクトリー化の課題は?

A.標準化の難しさが最大のハードル
顧客のニーズやスケジュールに合わせて受注生産する造船業では、船の種類や仕様によって配置、構造や機器が異なることが一般的。それらの標準化やムダの削減が大きな課題だ。

Q4.行政機関に望むことは?

A.人材育成や標準化に向けた共同研究
デジタルに長けた人材が少ない中、スマートファクトリー化を進めるためには、業界を挙げて標準化などのプラットフォームを構築する検討を進めるべきだ。

Q5.今後のスマート化の展望は?

A.部材などの標準化に向けた現状把握
異なる種類の船でも、共通する作業や部材などを整理し、標準化できれば、IoTの導入や自動化に取り組みやすくなると期待される。スマート化の第一歩として、現状の把握と整理が必要だ。

DATA


一般社団法人日本中小型造船工業会
経営基盤の強化や技術の向上を通じて、中小型造船業や関連する産業の発展を図り、経済の成長や国民生活の向上に寄与することを目指す。1959年設立。


取材・文:山下幸恵(office SOTO)

FACTORY JOURNAL vol.2(2024年夏号)より転載

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