日本ロボットシステムインテグレータ協会 ロボット導入支援の手引きを作成
2024/06/18
一般社団法人日本ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会)は、企業支援アドバイザー向けの「ロボット導入事前チェックシート」と「導入支援の手引き」を作成した。企業とロボットSIerをつなぐ役割の強化が期待される。
ロボットや自動化装置の普及へ
企業支援アドバイザー向けの手引きを公開
ロボット導入事前チェックリスト(出典 Sier協会)
中小企業は国の経済の基盤を形成し、重要な役割を担っている。現在さまざまな施策や支援が行われているが、その中でも「自動化」「ロボット」はよく用いられ、避けて通れないテーマとなっている。
しかし、中小企業がロボットや自動化装置の導入を検討し始めても、思うように具体化が進まないことがある。これは、企業側がロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer)に相談をする際に問題が生じているという指摘がある。
企業は、何を相談すればよいのか、どこで誰に相談ができるのか、といったことがわからない。また、ロボットSIerにも、明確な質問がないと回答がしづらい、受注可能性がわからないまま質問に答え続けることはできない、といった悩みがあるという。
ロボット導入事前チェックリスト(出典 SIer協会)
そこで、SIer協会は中小企業支援機関のアドバイザーや相談員向けに、「ロボット導入事前チェックシート」と「中小企業支援機関のためのロボット導入支援の手引き」を作成した。企業支援アドバイザーが、ロボットや自動化の導入についての知識を持っていれば、支援活動の中で整理された情報をロボットSIerに伝えることができる。
ロボット導入事前チェックシートで
導入準備をスムーズに
ロボット導入事前チェックリスト(出典 Sier協会)
ある特定の作業に特化した専用機は、他の作業で使用することはできないが、機器の扱いが簡単でスピードや精度が優れている。ロボットはハンドリング・搬送やパレタイジング(パレットに積載する作業)、溶接、塗装、組み立て、検査、加工など、さまざまな用途で活用することができる反面、構造は複雑で扱いが難しい。
ロボットの導入を成功させるためには、企業が事前に「地ならし」をしておくことが重要となる。導入の準備を怠ると、せっかく導入した設備の稼働率が低いままとなったり、作業効率が悪くなったりして、かえって作業が増える可能性がある。
とはいえ、導入準備として具体的に何をしたらよいかわからないという企業も多い。その際、ロボット導入チェックシートを用いることで、企業の全体像の把握がしやすくなり、ロボットの導入までに企業が行わなければならないことが明確になる。
導入の準備としては、「①目的の明確化 → ②現状の把握 → ③ 課題の抽出、対策立案 → ④運用体制の検討」の4つのプロセスが必要となってくる。企業支援アドバイザーとともにこれらのプロセスを進めることで、ロボットSIerとスムーズに連携していくことができるだろう。
アドバイザーのタイプに合わせ
チェックシートを活用
ロボット導入プロセスでのアドバイザーの役割(出典 SIer協会)
企業支援アドバイザーといっても、ロボット導入についての知識には個人差が大きい。ロボットについての知識や導入経験が豊富なアドバイザーばかりではなく、製造業全般の生産管理を中心としたアドバイザーや、中小企業向けの経営基盤強化アドバイザーもいる。
こうした個人差にも、「ロボット導入支援の手引き」は対応している。ロボット導入の注意点やロボットSIerの役割などを丁寧に説明している。ロボット導入のそれぞれのプロセスの目的を明確にして事例を紹介することで、ロボット導入支援の経験が浅いアドバイザーでもロボットSIerへの橋渡しができるようにしている。
また、経験豊富なアドバイザーも、事前チェックシートで企業の希望などを明確化しておくことで整理ができ、ロボットSIerとの連携がよりうまくいくことになるだろう。解説付きのチェックシートもダウンロードできる。
「ロボット導入支援の手引き」によって、企業、アドバイザー、ロボットSIerの三者がスムーズに連携しあい、効率的なロボット導入が進められていくことが期待される。
DATA
SIer協会がロボット導入事前チェックリストと導入支援の手引きを公開
取材・文/ダブルウイング