人に優しく効率60%向上、アダストリアの物流DX

2025/10/07

“Play fashion!”。その華やかなスローガンの裏側で、アパレル業界の巨人が静かに、しかし大胆に未来への一手を打った。アダストリアが常総物流センターで仕掛けたのは、単なる自動化ではない。それは、最先端のオートメーションが奏でる協奏曲。最大60%の物流効率向上を達成した、次世代物流の新たな“解”である。

“Play fashion!”の裏側、巨大物流への挑戦

我々が愛する数多のブランド。その輝きを支えるのは、決して止まることのない物流という名の心臓部だ。アダストリアグループが国内1,500店舗、そして拡大を続けるECモール「and ST」へと商品を届け続ける。その物量は、もはや人海戦術で対応できる限界をとうに超えていた。

背景にあるのは、避けては通れない「労働力不足」という社会課題と、プラットフォーマーへと進化する自社の「成長戦略」だ。次々と仲間入りする他社ブランド、増え続ける物量。これに対応し、持続可能でコスト優位性のあるバリューチェーンを構築するためには、従来の延長線上にはない、まったく新しい発想が不可欠だったのだ。

アダストリアが出した答え。それは、茨城県常総市の約10,000坪の巨大拠点に、最先端のオートメーション設備を導入するという、大胆かつ緻密な決断だったのである。

ロボットたちの“合わせ技”、勝利の方程式

このプロジェクトの核心は、単一のソリューションに頼らなかった点にある。まさに性質の異なるロボットたちの「合わせ技」と、それらを繋ぐ緻密なシステム設計だ。

まず「保管・ピッキング」。ここではHIK ROBOT社製の二つのロボットが主役を務める。高層ラックから正確にコンテナを取り出すCTU（コンテナ移載ロボット）と、棚の下に潜り込み柔軟に搬送するLMR（潜入式搬送ロボット）。この「静と動」のコンビが、多品種なアパレル在庫を完璧に掌握するのだ。

次に「仕分け」。主役は、なんと国内最大級となる120台のLibiao社製ソーティングロボット「t-Sort」だ。これらが自律的に走り回り、800店舗もの複雑な仕分けを高速でこなしていく様は、圧巻の一言に尽きる。

そして、これらをつなぐ「搬送」の自動化も見事だ。オークラ輸送機製のコンベアがt-Sortの架台上下を走り、段ボールの搬送作業を人の手から解放した。

このように、「保管」「仕分け」「搬送」それぞれに最適化されたソリューションを有機的に組み合わせたことこそが、生産性最大60%向上という驚異的な結果を生んだ「勝利の方程式」なのである。

生産性60%向上！数字が語る確かな成果

生産性60%向上！数字が語る確かな成果
理想を語るだけでは、現場は変わらない。今回のオートメーションが叩き出した数字は、その期待を遥かに上回るものだった。

入荷プロセスにおいては、生産性（時間当たり処理数）が40%向上し、1日の最大作業点数を示す作業キャパシティは60%も向上した。さらに出荷プロセスでは、生産性が60%向上、作業キャパシティは40%向上という驚くべき成果を達成している。

これは、現在9ブランド・約800店舗の物量を支え、今年末には主力ブランドを含む11ブランドへと拡大する同社の成長戦略を、力強く支える基盤が完成したことを意味しているのだ。

巨大プラットフォームの心臓は、オートメーションで動く。

導入ソリューション/拠点情報
拠点名: アダストリア常総物流センター
所在地: 茨城県常総市むすびまち10番地
倉庫面積: 約10,000坪
導入設備:
HIK ROBOT社製 CTU（コンテナ移載ロボット）、LMR（潜入式搬送ロボット）
Libiao社製 t-Sort（ソーティングロボット）
オークラ輸送機製製函・封緘機、コンベアライン
協力企業: オークラ輸送機株式会社、プラスオートメーション株式会社
新設拠点名: アダストリア西宮北物流センター
所在地: 兵庫県神戸市北区有野町
倉庫面積: 約5,800坪

情報元：https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002723.000001304.html

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