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メカトロニクスパーツ市場 新規受注が増加し需要の高まりに期待

富士経済は、メカトロニクスパーツ(FA・PA設備の構成部材)の市場調査結果をまとめた。2025年以降の需要の高まりが期待される。工作機械や半導体製造装置、成形機などの生産再開を受けて新規受注が増加し、25年以降の需要の高まりが期待される。

2023年市場は低迷
今後は回復に向かう見込み

メカトロニクスパーツ42品目の市場(出典 富士経済)

総合マーケティングビジネスを行う株式会社富士経済は、「24年版 注目メカトロニクスパーツ市場実態総調査」をまとめた。これは、メカトロニクスパーツとして、コントローラー領域6品目、ドライブ・アクチュエーター領域11品目、センサー領域7品目、受配電・接続機器領域8品目、セーフティ機器領域4品目、PA機器領域6品目の市場についての調査を行い、市場の現状や将来の予測をまとめたものだ。基本的に日本市場と日系メーカーの海外販売について調査を行っているが、世界市場も参考としている。

23年は、長期にわたって続いた材料、部品の不足には改善が見られたものの、中国やアジアでの設備投資が減少したため、市場は低迷した。2024年も前年の設備投資の減少の影響を受け、低迷が見られる。しかし、工作機械や半導体製造装置、成形機などの生産再開を受けて、メカトロニクスパーツ需要も回復に向かっており、新規受注も増加し、これからの市場拡大が期待される。25年以降は需要が高まると予想されている。

メカトロニクスパーツの世界市場では、23年、中国やアジアを中心とする景気低迷の影響で、市場の伸びが鈍化した。24年は、半導体関連の設備投資が増加していることで、市場は大きく拡大している。今後は、インドや東南アジアなどのネクストチャイナへの進出が広がり、これらの地域で市場が急拡大するとみられており、27年の市場は21兆5,719億円と予測されている。

プログラマブルコントローラー
半導体関連で市場が拡大

2027年の市場予測(出典 富士経済)

今後の注目市場として、3点が挙げられている。1点目のプログラマブルコントローラーは、リレー回路の代替として開発された制御装置であり、工場などの自動化装置の制御に使用されている。

23年は、中国やアジアでの設備投資減少などの影響を受け、日系メーカーの販売減少など市場の縮小が見られた。24年もその影響を受けるが、後半からは新規の需要が期待されており、市場は2,680億円を見込まれている。

25年以降は、半導体関連の設備投資増加に伴い、市場の拡大が予想され、27年には、23年比で118.8%の3,230億円が見込まれている。

ACサーボモーター
EV関連やバッテリーで市場が拡大

2027年の市場予測(出典 富士経済)

2点目のサーボモーターは、サーボ機構において位置や速度、回転などを制御する際に使用するモーターで、AC(交流)タイプの製品を対象としている。24年は、前年の先行発注の反動の影響が見られたが、後半に設備投資が増加するなど、市場の拡大が期待される。

25年以降は半導体やエレクトロニクス関連の大型案件の立ち上がりや、EV関連やバッテリー製造など新分野における需要の増加により市場の拡大が予想され、2027年は2023年比で141.8%の3,290億円と見込まれている。

セーフティライトカーテン
安全対策で市場が拡大

2027年の市場予測(出典 富士経済)

3点目はセーフティライトカーテン。防護扉のない出入り口における人や物の通過を、光線によって検出する安全装置である。対になった光電センサーを用いて、ロボットや機械などの稼働領域への侵入防止などを検知する。

安全対策のために導入が進み、市場が拡大している。欧州では、日本企業のシェアが高く、半導体製造装置や食品・包装機械、自動車関連など用途が豊富である。一方、中国では、半導体製造装置などへの採用が多くなっており、中国メーカーや欧州メーカーとの価格競争が激しい。

半導体・液晶製造装置向けの導入も進んでおり、引き続き市場の拡大が予想され、27年には、23年比140.0%の1,095億円が見込まれている。

DATA

富士経済 メカトロニクスパーツ(FA・PA設備の構成部材)42品目の市場を調査

取材・文/ダブルウイング

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