中央労働災害防止協会、外国人労働者を対象に安全衛生オンライン研修スタート
2024/04/08
中央労働災害防止協会は、日本国内の製造現場で働く外国人労働者を対象に、安全衛生の基本的なルールなどについて学べるオンライン研修事業を開始した。
外国人労働者数は約182万人超
安全衛生ルールの徹底が必要
現在、日本では多くの外国人労働者が働いている。厚生労働省の調査によると、2022年10月の調査では、外国人労働者数が約182万人で、前年の同じ時期より約10万人増え、過去最高を更新している。その中でも「製造業」で働く外国人労働者数が最も多く、全体の26.6%となっている。
企業として、外国人労働者が異国である日本で安心して働けるような環境を整えることは非常に重要となっている。しかし、外国人労働者の母国と日本との文化の違いや言語面での難しさから、コミュニケーション上の問題が生じることも少なくない。その結果、安全衛生に関する基本的なルールが守られず、ケガや災害につながるケースが多く発生している。
基礎的な日本語で
安全衛生基礎研修を実施
外国人労働者を対象にした研修プログラム(出典 中央労働災害防止協会)
中央労働災害防止協会(中災防)はこれまで、海外に進出する日本企業などの拠点先の労働者に対して、日本の労働安全衛生分野のノウハウや経験を伝えるオンライン研修「Smile Asia Safety Project」を実施してきた。そしてこのたび、日本国内で働く外国人労働者を対象として新たに「Smile Asia Safety ProjectⅡ」という新たな研修プログラムを構築した。
このプロジェクトは、「外国人労働者向け安全衛生基礎研修」を行うことなどを通して、外国人労働者が守らなければいけない安全衛生上の基本的なルール等について伝え、災害防止と安全衛生意識の向上を目指すものだ。
外国人労働者作業者を対象とした研修は、企業からの申し込みをうけて実施する。研修は、日本語能力試験「N4」程度の基礎的な日本語で行われる。「N4」は5段階ある日本語能力試験の中で下から2つ目で、「日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる」程度である。
研修では、「労働災害はなぜ起きる?」、「ルールを守ろう」、「保護具は必ず着用」などのテーマについて、パワーポイントの説明資料や外国語のサブテキストを交え、安全衛生の専門家がわかりやすく解説する。サブテキストはタイ語・ベトナム語・中国語・インドネシア語・タガログ語・ミャンマー語・クメール語・ネパール語などに対応しており、複数言語も選択できる。研修は基本的にオンラインで行うが、希望に応じて対面で行うことも可能だ。
研修時間は3時間程度
事業場ごとに最大50人まで
研修の対象は、日本国内の事業所を想定している。研修の時間は3時間程度で、日本国内の事業所の拠点単位で参加する。1回の研修につき定員は最大50名で、それ以上の場合は追加料金が発生する。通訳が必要な場合は、別途、申し込む側で通訳者を手配する必要がある。
研修の料金は、賛助会員は10万6200円・一般は11万8000円となっている。また、サブテキストの「やさしい日本語で学ぶ 初めて日本で働く方のための 安全・健康に仕事をする」は、参加人数分を購入する必要がある(税込550円)。このサブテキストは、中災防のウェブサイトから申請書類をダウンロードしてメールで申し込む。
中災防では、日本国内で働く外国人労働者の安全衛生教育の実施に取り組み、2025年度にタイでの安全衛生大会の開催や、外国語に対応した安全行動調査の実施などを通じて、これからも外国人労働者への安全衛生サービスの充実を図っていきたいとしている。
DATA
中央労働災害防止協会
日本国内の外国人労働者を対象に安全衛生のオンライン研修をスタート
取材・文/ダブルウイング