世界のイメージング&センシング関連市場 今後も着実に成長が期待
2025/01/28
富士キメラ総研は、センサーデバイスやカメラモジュール、レンズ関連の世界市場を調査した。自動運転分野やXR(クロスリアリティ)向けなどの需要の増加を受けて、着実な成長が見込まれている。
1.スマートフォン市場の低迷を受け低迷 今後は多角的な展開で着実に成長する予想
2.エリアイメージセンサー 自動運転などの分野で需要増
3.LiDARは引き続き順調に成長
4.車載カメラ用レンズユニット 需要増だが単価は下落傾向
5.スマートグラス用導光板 需要の伸びが加速へ
6.短波赤外エリアイメージセンサー 三品産業で用途を広げる
スマートフォン市場の低迷を受け低迷
今後は多角的な展開で着実に成長する予想
車載カメラ用レンズユニットも成長市場のひとつだ
富士キメラ総研は、センサーデバイスやカメラモジュール、レンズ関連の世界市場について調査を行い、その結果を「2024 イメージング&センシング関連市場総調査」にまとめた。調査対象は、半導体デバイス5品目、光学ユニット11品目、光学部品7品目、光学関連材料7品目、光学関連装置3品目の計33品目と、デバイスを搭載したアプリケーション12品目。
これらの市場はこれまで、スマートフォン向け需要の拡大に伴い成長してきたが、22年から23年にかけてのスマートフォン市場の低迷の影響を受けて需要が落ち込んだ。スマートフォン市場自体は、24年には回復しつつあるが、買い替えサイクルの長期化や中古機市場の成長、市場の成熟といった要因により、今後の成長はあまり見込めないと予想している。
光学業界では、スマートフォン市場への展開を続けながら、自動車やXR、製造、検査、農業といった産業分野などの新たな分野に事業展開を図っている動きがみられる。今後はそうした新分野に主体を移しながら、着実に成長していくと予想している。
エリアイメージセンサー
自動運転などの分野で需要増
富士キメラ総研「2024 イメージング&センシング関連市場総調査」
シリコンベースのイメージセンサーは、スマートフォン向けが圧倒的に多く、そのほかにPC・周辺機器や監視カメラ、車載カメラなどの用途がある。22年から23年にかけて、スマートフォン市場の低迷を受けて、成長が鈍化した。24年はスマートフォン市場が回復していくと予想されていることなどから、エリアイメージセンサー市場は2兆7670億円で前年比112.2%となる見込みである。
また30年には、市場規模が3兆410億円と、23年比123.3%と予想されている。スマートフォン市場は需要が頭打ちとなるが、自動運転などの分野で今後の伸びが期待できる。
LiDARは
引き続き順調に成長
富士キメラ総研「2024 イメージング&センシング関連市場総調査」
水平方向のみのスキャンを行う「2D LiDAR」や、垂直方向もスキャンして空間を認識する「3D LiDAR」は、これまでAGV(無人搬送車)や半導体ウエハー搬送用のOHT(点状壮行式無人搬送車)といった産業分野向けが中心であった。近年は、半導体不足や、ユーザーの在庫調整の影響を受けていたが、24年は、自動化・省人化を目的としたAGVやOHTの需要の増加により、1800億円と前年比163.6%となる見込みである。
今後は自動運転の分野での用途が伸長すると想定され、30年には、23年の6.5倍の7200億円となる見込みであり、引き続き順調な成長が予想されている。
車載カメラ用レンズユニット
需要増だが単価は下落傾向
富士キメラ総研「2024 イメージング&センシング関連市場総調査」
スマートグラス用導光板は、スマートグラスで採用される導波路を調査対象としている。224年は240億円で前年比139.5%であった。今後、スマートグラスの市場の成長とともに需要の伸びが加速していくと予想されており、30年には2091億円と23年の12.2倍となる見通しだ。
スマートグラス用導光板
需要の伸びが加速へ
富士キメラ総研「2024 イメージング&センシング関連市場総調査」
スマートグラス用導光板は、スマートグラスで採用される導波路を調査対象としている。224年は240億円で前年比139.5%であった。今後、スマートグラスの市場の成長とともに需要の伸びが加速していくと予想されており、30年には2091億円と23年の12.2倍となる見通しだ。
短波赤外エリアイメージセンサー
三品産業で用途を広げる
富士キメラ総研「2024 イメージング&センシング関連市場総調査」
短波赤外エリアイメージセンサーは、波長帯として900~1,700nm帯(SWIR)および1,700~2,500mm帯域近傍(おおむね2,350~2,550nm帯、eSWIR)までの短波赤外波長領域をカバーするエリアイメージセンサー(InGaAs、MCT、T2SLなど)を調査対象としている。
これまで、軍事・国防分野で多く採用されてきたが、三品産業(食品、医薬品、化粧品)向けの検査などで民生分野に用途を広げている。24年は150億円で前年比120.0%であった。30年は310億円と23年比2.5倍と成長する予想である。
今後のセンサーデバイスやカメラモジュール、レンズ関連の市場は、自動運転分野やXR向けなどの需要の増加を受けて、着実な成長が見込めそうだ。
DATA
取材・文/ダブルウイング